★レジェンド・チャンプ★第15回高校生ものづくりコンテスト化学分析部門2015年度優勝者インタビュー

都立科学技術高校卒業→中央大学 理工学部 精密機械工学科・濱井理子さん

2015年度の科学技術部門で優勝した濱井さんは現在、中央大学理工学部精密機械工学科の学部生。高校時代を振り返ってもらったら、「ワルだったんです」とまさかの告白!
優勝したポイントを聞こうと思ったのに、そっちの話のほうが気になるじゃんか。いったい、濱井さんはどんなワルだったのか!!

それはほんとに「ワル」ですね!
ーーものコンのチャンピオンですから、高校時代はすっご〜く優秀だったんですよね?
う〜ん、どうでしょう。正直、ワルかったです。先生に迷惑をかけっぱなしで。
ーーえ、マジっすか…。
器材をバンバン壊しまくりでした。というのも、コニカルビーカーというガラス容器があるのですが、これは水に濡れた状態で扱うことが多く、どうしても練習中に手が滑って落として割ってしまうんです。
ーーあ、そういうことですかε-(´∇`♥) それは確かに「ワル」というか「割る」ですねw 練習はどのくらいしていたんですか?
東京都の代表になってからは、平日の放課後はずっとやっていました。それこそ先生から「もう切り上げろ〜」と言われる遅い時間まで練習していました。
ーーやっぱり先生には迷惑をかけていたんですね(笑)
でも、先生がなんでもやらせてくれて、サポートしてくれる環境があったから、全国優勝ができたと思っています。科学技術高校(以下、科技高)では「この実験をやってみたい!」というと、すぐに先生が応えてくれました。大学では研究分野が広く、自分が専攻する分野以外との自由な交流が難しいので、なおのこと当時の環境には感謝しています。

競技中にミスしないポイントは…友人の存在
ーー競技中に心がけていたことはありますか?
これまでやってきたことをちゃんとやる。過去にやったミスは繰り返さない。その2つを徹底しました。
ーーミスを繰り返さないためには何が必要ですか?
一緒に優勝を目指して頑張った友人の存在が大きかったですね。彼女とは互いに悪い点などを指摘しながら練習を重ねました。それに競技の練習ってモクモクと一人で行うので、ずっとやっていると飽きるんです。その友人がいたことでモチベーションを維持しながら練習することができました。
ーー優勝してよかったことはありますか?
中央大学に入学できたこと!入試は自己推薦だったのですが、ものコンで優勝したことを面接で思いっきりアピールしました(笑)。

音をデザインするって、ど〜ゆ〜こと?
ーー大学ではどんなことをされているんですか?
自動車や家電などから出る音を心地よい音にする「快音化」に関する研究を行っています。今、私が担当しているのはシャンプーの快音化です。頭を洗う際、製品Aはシャカシャカと聞こえるけど、製品Bはパチパチと聞こえる。どうしてその違いが出るのか。爽快感がある音にするにはどうすればいいのか。そういうことをメーカーと共同で研究しています。
ーー製品から出る音なんて気にしたことがなかったです。確かに車のエンジン音など心地よい音ってありますよね。
エンジンもそうですし、精密機械から出る音など、世の中のいろいろな製品から出る音は、実は心地よく聞こえるようにデザインされていることが多いんです。
ーーへ〜。将来は音に関する仕事をされるんですか?
まだ決めていませんが、自分が身につけたことを誰かに伝えるような職業に就きたいと考えています。誰かを導けるような人間になるために、もっと成長しないといけないなと思っています。

マネキンを使って髪を洗う際の音を測定しているところ

これ、やらないと後悔するかも?
ーー最後に現役の工業高校生にメッセージを!
今、危険物乙4の取得に興味があるんです。高校時代には全然資格を取得していなくて、それを後悔しています。歳を取ると好きな勉強をする時間がどんどんなくなるので、高校生のうちに興味がある資格は何でも取得したほうがいいと思います。
それと、ものコンには1年生のときに軽い気持ちで参加しました。結果は全然ダメ。それが悔しくて、優勝を目指そうと自分の意思で決めました。ものコンだけでなく、この実験をやろうと自分で決める。そういう自分で決める癖をつけられたのは、モノづくりを学べる高校を選んだから。だから、ものコンや資格取得など、興味を持ったことはどんどん自分で決めて挑戦すると、すごく成長できると思います。

濱井さんが所属する中央大学 理工学部 精密機械工学科の戸井研究室には、国内の大学では最大規模の無響室があり、自動車が余裕で設置できるほど広々。この部屋では自動車やエアコンの振動・騒音実験などを行なっている

中央大学 理工学部 精密機械工学科
戸井研究室ー音響システム研究室ー

文=阿部 伸/写真=小泉 真治