「意識高い系」という言葉を世に広めた人気人材コンサルタント・常見陽平さんに、モノづくり系ティーンズの進路選びについてアドバイスをいただきました。
就職を考えている人も、進学を考えている人も、どちらにするか悩んでいる人も、読めば必ず進路のヒントが見つけられるゾ!
ーズバリ、うかがいます。会社選びのポイントを教えてください!
同じ会社に長く勤める人たちには共通点があるんです。それは自分に合う会社を選んでいるということです。大事なのは、自分に合う〝仕事〟ではなく、自分に合う〝会社〟なんです。その会社のカルチャーや雰囲気が合うかどうか。就職先を選ぶときにはそうした組織風土をしっかり見ることをおすすめします。
ーそれは社風を見るということですか?
社風というと、「アットホーム(家庭的)な会社」なんていう言い方をよく目にします。でも、「家庭的って、なんじゃい!」と僕は思います(笑)。組織風土とは、その会社の仕事に対する考え方のこと、何を「よし」としているかということです。
例えば、従業員に求めていることはスピードなのか、ていねいな仕事なのか。あるいは、一匹狼的な社員が多いのか、それともチームワークを大切にしているのか。そうした会社の基本的な姿勢が自分の肌に合っているかどうかの見極めが大切です。
それと、もうひとつ、人材育成の仕組みがどうなっているのかを調べることもおすすめします。新人時代の教育体制や将来、キャリアアップを考えたときにどんな対応をしてくれるのかということは、その会社で長く勤める上で大切になります。人を育てる意識のある会社かどうかも、しっかり確認しておきましょう。
ー最近は就職売り手市場と言われています。企業の求人数が増えていることに比べ、売り手=就職したい高校生や大学生が少なく、結果として、就職しやすい状況にあります。
人手不足と言われ、求人もいっぱいあり、空前の売り手市場になってきていることは確かです。特に、今は大学の進学率が上がっていることに加えて、18歳の人口が減っています。新規高校卒業者を採用したい企業にとっては大手、中小を問わず、人手不足に悩んでいますね。実際に僕も地方の中小企業の方々と接する機会がありますが、新規高校卒業者の労働力が足りないといった声をよく耳にします。
ーこうした状況は工業高校などモノづくりを学ぶ10代にとってよいことのように思いますが、いかがでしょうか?
こういう時期だからこそ、就職先はよく考えないと危険だといつも思っています。モノづくり産業における採用は誰でもいいわけではないので、企業からすると人材確保の争奪戦になっていることは間違いなく、その分、苦労せずに就職できてしまうケースが増えています。けれども、あまり将来を考えずに就職したとき、もしも、その企業と自分がミスマッチだったとしたら。
若いうちは転職しやすいという面も確かにありますが、好景気はそんなに長くは続きません。いざ、転職しようと思ったときに求人が減っていて転職できないなんてことはよくあるんです。ですから、会社選びは慎重に行って欲しいと思います。
〈創刊号(2017年10月発行)特集インタビューより〉