〈vol.11 秋号(2020年10月発行)より〉
YouTuberあまのっちの使命はロボットSIerがワクワクする職業であると全国の10代に伝えつつ、自分のチャンネル登録者数を増やすことw そんなワケで、この日は都立蔵前工業高校にお邪魔しました。
「工業高校で学ぶのって、夢と希望しかないよね!」と語るあまのっちは、果たして、登録者数を増やすことができるのか!?
製造業大好きYouTuber
いったい、あまのっちて誰なんだ??そんな空気が漂う中w まずは自己紹介。
「私はIT企業やロボットメーカーの社長ではありません。ロボットSIerです!(`・ω・´)」
生徒「……」
「知らなくてもダイジョ〜ブ。だって2年前に名前がついたばかりの新しい職業だから。僕自身はスマートファクトリーの第一人者と業界では言われています。で、どんな人物かと言うと、今年の6月から…
YouTuberになりました〜! 7000万円する3Dプリンターでミニ四駆のパーツをつくるとか、ふざけたことばかりやっています(笑)」
日本一給料が高い企業のレジェンド営業マン
そんなあまのっち、実は今では日本一給料が高いことで知られる会社キーエンスの元レジェンド営業マン。でも、入社当時は小さな会社だったとか。
「ある日、社長に呼ばれ、大手のお客さんをたくさん獲得して来い! と特別な命令を言い渡されました。3年かかったけど、目標を達成し、その頃から給料もど〜んどん上がって、会社もど〜んどん有名になっていきました」
高級車をバ〜ンバン乗り換えるような、すんごいお金持ちになったのだとか。ところが、40歳でその会社を辞めることに。どして??
「自社製品だけでなく、いろいろな物をプロデュースしたいと思うようになったんです」
日本のモノづくりの強みってナ〜二?
あまのっちが起業する際、大切にしたのが「ワクワク」。ということはロボットSIerってワクワクする仕事なの?
「ワクワクしかない!なぜかって?その前に日本のメーカーが世界シェアのトップになっている産業って何か知ってる?はい、そこのテッペイくん!」
テ「えっ」
「答えは自動車とバイクとA3レーザー複写機。では、これらの製品の特徴は?え〜と、次は…テッペイ!」
テ「え、えっ」
「答えは部品数が多いこと。車なんて約3万点の部品があるんです。日本人は空気を読んだり、あうんの呼吸で何かをしたりするのが得意。だから、3万
点もの部品があるのにどこの国よりもきちんとすり合わせて頑丈に組み立てることができるんです」
ロボットSIerってどんな職業?
さらに日本が世界的シェアを持つ業界がある。それが産業用ロボットだ。
「世界4大メーカーのうち2社が日本企業。ロボットSIerはこの産業用ロボットを使いこなしてシステムにする職業なんです」
いくつもあるロボットSIer企業の中で、あまのっちの会社はどんな特徴があるの??
「デジタル技術を活用した生産ラインを構築しています。特にシミュレーションに関する技術は今、すんごいことになってんですよ!」
仮想工場でシミュレーション
大きな工場の生産ラインをつくるのには何億円もの費用がかかる。それなのに、いざ稼働してみると人や物の流れが悪いなど効率よく生産できない!なんてことが起きるときがある。
「そこで、コンピュータ上で
仮想工場をつくり、事前に生産ラインをシミュレーションしてから導入するということを当社では行っています。これって、言ってみれば、シミュレーションゲームをやる感覚と同じなんですよ。仕事がゲームと一緒。ね、ワクワクするでしょ?」
注目のDX型ロボットジョブショップ
デジタル技術を活用すると、さらに可能になることがある。それが従来にない考え方の生産ラインだ。
「部品がコンベヤで運ばれ、それをロボットが組み立てる。実はこれ、人がロボットになっただけで100年前から変わらない方式なんです」
ライン生産方式と呼ばれるこの方法だと、時間がかかる作業の後ろでは部品の流れが止まったり、トラブル時にはすべての工程が止まったりする。ところが、デジタル技術を活用し、そこに新しい生産方式のアイデアを加えると…
「コンベヤの代わりに無人搬送車(AGV)がジョブショップと呼ばれる各作業場を動き回り、部品を運びます。これだと混み具合を見ながら作業の順番を入れ替えられるのでムダな時間がなくなるんです。それに別の製品をつくる際にも変更がチョ〜簡単!生産性が上がり、人手不足も解消される。今、このDX型ロボットジョブショップによる生産ラインが製造業界では注目されているんです」
年収1億円を稼げる職業?
DX型ロボットジョブショップのアイデアを提案したり、工場全体をデザインできたりするロボットSIerになると、ぶっちゃけ年収はいくらくらい??
「1億円だって稼げる可能性がありますよ。しかも、ロボットSIerって、誕生したばかりの職業だから、今は誰でもなれるチャンスがある。だから工業系のエンジニアを目指せる工業高校に入学した君たちはラッキーなんです。生産ラインっていろんな機器やデータをすり合わせてつくります。さっき話したように日本人はいろんなモノをすり合わせて統合するのが大得意。将来、世界中の工場が日本製のDX型ロボットジョブショップで製品をつくっているかもしれません。ほら、ワクワクするでしょ?いつか皆さんとワクワクしながら仕事ができると嬉しいですね。その前に、まずはチャンネル登録よろしく〜ね!」
文= 阿部 伸/写真= 高永 三津子
text ABE SHIN / photograph TAKANAGA MITSUKO
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