【水道事業の設備職】給水が止まったら人命に関わります。とても責任のある仕事です。
堀田 大貴さん
都立府中工業高校 電気科 2010年卒業
所属:水道技術本部 設備部
ワールドカップのとき、水道水は危機だった!?
サッカーの試合が盛り上がるほど、浄水場の現場には緊張感が走るんです。なぜなら、多くの人がテレビに釘づけになるので、試合終了とともに我慢していたトイレに一斉に駆け込むから(笑)。ワールドカップのときは短時間で一気に使用量が大幅に増加しました。
それでも水道水が安定して供給されたのは、事前に水圧等を調整していたためなんです。そんなふうに、私の所属する設備部では安全な水道水を安定的に届けるために、浄水場をはじめとした水道システムの運転、調整、点検などを行っている部署になります。
どんな状況でも水道水をしっかり届ける!
普段、何気なく使っている水道水ですが、止まってしまったら困りますよね。それを多くの人が実感するのが災害時ではないでしょうか。東日本大震災のとき、私の担当する多摩地域では計画停電が実施され、停電中は自家発電によって浄水場の運転を行いました。当時、発電機を動かすための燃料を確保するのが大変だったと記憶しています。「停電だから給水をストップします」というワケにはいきませんし、もしも水道水が止まってしまったら、場合によっては人命にも関わることだってあります。なので、どんな状況であっても水道水をちゃんと届けること、それが私たちの使命なんです。
そのために現場は結構バタバタなときも(笑)。というのも、私が現在、勤務する小作浄水場は約50年前に完成した施設です。いろんな機器や設備が老朽化していて、それをメンテナンスするのも私たちの仕事なんです。
ポンプの作動状況を確認しているところ
インフラに関した仕事がしたかった
就職先を決める際に考えたのは、絶対になくならない仕事に就きたいということ。そこで探したのが水道をはじめ、鉄道や道路、発電所といった公共的な設備や施設を扱うインフラに関連した企業でした。中でも東京水道の設備職はいろいろな業務があって、自分の得意分野を活かすことができると感じたんです。
実際、職場には水質などの化学に詳しかったり、機械を直すことが得意だったり、パソコンについて詳しかったり、私のように電気関係が得意だったり、いろいろな社員が働いていて、役割分担をしながら業務を行なっています。逆にいえば、この仕事は1人でできるものではありません。当社は東京の水道業務全般を担っている会社なので、それだけカバーするエリアは大きいですし、東京都水道局の方や当社の現場の職員など、50〜60人が1つの業務に携わることもあります。だから、コミュニケーションを取って、協力しながら、仕事することも大切になります。
集中管理室の巨大パネルには浄水場等の状況がリアルタイムで表示される
高校で習った知識は想像以上に役立ちました!
高校時代は部活ばかりで勉強はどうだったかな(笑)。でも、高校で習った電気の知識は想像以上に仕事に役立ちました。電気回路を読むのも第2種電気工事士を取得する際に覚えた知識そのままですし、水道の仕事は単位計算がよく出てくるので、工業数学の勉強も役立ちました。それこそ分からないことがあったら高校の教科書を見返したこともありました。こういった知識を身につけられるのは工業高校の強みですね。
現在、若手社員の教育にもたずさわっています。水道水の安定供給を今以上に確かなものにするために、若手社員のレベルを上げていけられたらと思っています。実は今年、娘が生まれたんですよ。パパは東京の水道を守っているんだというカッコいい背中を見せられるように、これからも頑張りたいですね。