“怪物”から“芸術品”を生み出す匠たち 昭和電気鋳鋼株式会社

鋳鋼って知ってますか?
“怪物”から“芸術品”を生み出す匠たち

「おぉ!!」思わず絶叫した取材班の前方を空中移動するのは、1600度で溶かされた5トンもの鋼。鋳鋼って「生き物」なんて言われるけど、このスケール感は正直“怪物級”。
この会社の社長さんも、きっと怪物のような人に違いない!なんて想像しながら、社長室のドアを開けると、2度目のビックリ。出迎えてくれたのは、小柄な女性でした。ホッ。

大事故を起こしたトレーラをつなぎとめたのは…

高架式の高速道路を走っていた大型トレーラがまさかの大事故!カーブを曲がり切れずに壁にぶつかり、荷台が宙づりに…。
このとき、道路に残った自動車部分と荷台をつないでいたのは、鋳ちゅうこう鋼でできた、たった一枚の連結器。もしも、連結器が壊れていたら…想像するだけでもゾッとするエピソードを教えてくれたのは、この連結器を製造した昭和電気鋳鋼の手塚社長だ。

「1939年の創業以来、破損クレーム“ゼロ”の実績を守っています。こういう薄くても丈夫な鋳鋼製品をつくれるのは当社だけ。そんなプライドを持って仕事をしています」

うーん、昭和電気鋳鋼はビックリ話の宝石箱やぁ〜。

世界中で活躍する同社の製品

鋳鋼とは鉄にマンガンなどを加えて…ま、詳しくはググってください(笑)。とにかく、鉄に比べて粘り強い特性があって、機械の中でも激しい力が加わる重要な部分に使われるのが鋳鋼だ。

「当社の製品は鉄道車両のモーターケース、高層ビルに設置したエレベーターのブレーキ装置の部品など、多くの製品に使われています。建設機械(以下、建機き)に使われる部品としては、日本で最大級の大きさの鋳鋼製品をつくれる設備も整えているんです」

その最大級の製品とは、鉱山で石油やレアメタルなどの資源を採掘するための建機の部品で、大きさは4tにもおよぶのだとか。ちなみに、鉱山資源の採掘は世界中で盛んに行われ、同社が手がける製品もブラジルやオーストラリア、中東など、世界各地で活躍している。