業界国内トップシェアを誇る町工場 株式会社横引シャッター

横引きシャッターの分野で国内シェアNo1を誇る町工場がある。その名も株式会社横引シャッター(東京都足立区)だ。「中小であっても大手に負けないことを証明したい」そう語るのは2代目代表取締役の市川慎次郎社長。そもそも「横引きシャッター」ってなんだ? と思いつつ、同社を訪れると迎えてくれたのはカニ部長だった!?

独自開発した「上吊式横引きシャッター」
横引きシャッターとはショッピングモールの店舗などで使われている、横にスライドするシャッターのこと。株式会社横引シャッターはこのジャンルで国内シェアNo1。遊園地から個人宅のガレージまで、さまざまな場所で同社の製品は採用されている。「設計、製造、施行はもちろん、部品の製造も自社で行い、製品はすべてオーダーメイドです」と市川慎次郎社長。

横引きシャッターは上下式のシャッターよりも長い距離に対応し、カーブした場所にも取り付けOK というスグレモノ。でも、昔の横引きシャッターはクレームが多かったのだとか。

「創業時、横引き式のシャッターは各大手メーカーが製造していました。でも、上下式を横にしただけで、レールにゴミが詰まるなど故障が多かったんです。大手が生産を控える中、先代が開発したのが上うわづりしきよこ吊式横引び きシャッターでした」

9億の借金を返済し、無借金経営を実現!
故障が少なく、開閉も軽くてスムーズ。その使い勝手のよさから同社のシャッターは発電所など特殊な施設から注文が入るようになる。その後、駅ビルなどの店舗の間仕切りとしてヒットし、知名度がグンと上がった。

「ただ、私が入社したころは9億円の借金があったんです。先代はアイデアマンで攻めるタイプ。『一発当てれば、すぐ返せる』と開発費にお金を注ぎ、借金だらけに。なので、私が経理部に入り、お金まわりをゼロから見直しました。当社の技術は高い。だから、会社として歯車がまわれば返済できると信じ、地道な作業を続けました」。その結果、6年で7億円を返済、今では実質無借金の経営を続けている。


写真A/駅の売店で導入されている横引きシャッター
写真B/店舗やガレージなどに使われることの多い「パイプカーテンゲート」
写真C/開口部が大きくても横引きだと中間に柱を立てる必要がない

解雇なし、定年なし。社員第一主義の教え
5年前に亡くなった先代について市川社長にたずねると……。「先代が攻めるタイプなら、私は守りのタイプ。創業者である先代が掲げた教えを守ることが私の役割だと思っています」。

その教えの中で1番大切にしているのが「社員第一主義」だ。同社はなんと、社員を解雇したこともなければ、定年制もない。社員の最高齢は89歳で、今でも現役で働いている。

「ある年齢になったらやめてもらうというのは会社の都合です。当社では退職するまで昇給し続けます。65歳になったら能力が急に衰えるわけではないですから」

高齢の社員には月2回の健康診断を義務づけるなどの配慮も欠かさない。「社員は32名と少人数。でも、だからこそ、すべての社員に目が届き、思いやりを大切にした社風がつらぬけるんです。そして、それが当社の強みにもなっています」。

中小企業でも大手に勝てる見本を示したい
現在、市川社長には目標がある。それは同社が〝山賊から武士へ〟生まれ変わること。

「業績回復を目指し、がむしゃらだったころは、腕はあるけど品が足りないでもよかったのですが、今は腕もあるし品もある〝武士〟を目指しています。身なりや挨拶、仕事の準備や片付け、そういった細かい部分でも他社を圧倒し、誰からも憧れを抱かれるような存在になるよう頑張っています。仕事へのプライドを高め、一人ひとりが大変な仕事も率先して引き受けるような活気のある職場にしたいですね。そして、自分たちのフィールドでは大手にも勝てる。そういう見本が示せる中小企業になりたいと思っています」

ところで、取材中、ずっと取材班を見つめる着ぐるみが……。「あ、それはカニ部長です(笑)。プロモーション用に製作した当社のマスコットで、最近では地元のお祭りに呼ばれ、子どもたちから人気なんです」。

カニ部長をはじめ、SNS などによる情報発信も欠かさない市川社長。先代の意思を受け継ぎながらも時代に合った戦略を打ち出し、これからもトップメーカーとして走り続ける。


横引きシャッターと横歩きをするカニにかけて生まれたカニ部長。ちなみに、左が市川社長で右がカニ部長です。

株式会社横引シャッター
<本社> 東京都足立区綾瀬6-31-5 TEL 03-3628-4500
<工場> 綾瀬工場・三郷工場・垳工場
http://www.yokobiki-shutter.co.jp/

〈創刊号(2017年10月発行)より〉

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