第1回ロボットアイデア甲子園 入賞者突撃レポ

〈vol.10 春号(2020年4月発行)より〉

そのアイデア買った!
高校生の発想で新ビジネスが誕生する!?

初代チャンピオン!
山梨県立甲府工業高校 電子科
加藤 勇典さん (1年/情報システム部)

「そのアイデア、本当に買っちゃうかも!」
昨年12月21日、東京ビッグサイトで開催された第1回「ロボットアイデア甲子園」。初代チャンピオンとなったのは山梨県立甲府工業高校の加藤勇典さん。彼のもとに大会後、ある企業から1本の電話が…。何やら加藤さんのアイデアの実現化を提案されたとかされなかったとか。真相を探りに甲府へ行ってきました!

全国300名の頂点に立ったアイデアとは?

あれが南アルプスかぁ。甲府ってチョ〜気持ちぃ〜なんて言いながら甲府工業高校に到着した取材班。やっぱ、山っていいよね!とはしゃいでいると、「毎日見てるから、ナンも感じません」とクールに返答してくれたのが今回の主役、情報システム部の加藤勇典さん。産業用ロボットの新しい活用アイデアをプレゼンで競い合う「ロボットアイデア甲子園」の初代チャンピオンです。

各地で開かれた地区予選大会には高校生と高専生約300名が参加。その中から勝ち上がった11名が全国大会へと駒を進めました。「まさか優勝するとは思わなかったです」と謙虚な加藤さん。以前、通学で使う自転車をイタズラされた経験から駐輪場を管理する「自転車整理ロボット」を考案し、見事、最優秀賞に選ばれました。

アイデアを考える際にはSDGs(エスディージーズ/持続可能な開発目標)のことも念頭に置いたのだとか。「自転車は二酸化炭素を排出しないので環境にやさしい乗り物です。自転車の活用機会が増えれば環境保護にもつながります」。

本番は、なんと全部アドリブで!

加藤さんのアイデアはレンタサイクル事業への展開も可能です。そうした市場性やSDGsを考慮した社会性などが高評価へとつながりました。

そしてもう1つ、他の出場者から抜きん出ていたのがアピール力。ときどき川柳を詠みあげるなど聞く側を飽きさせないパフォーマンスで会場をにぎわせました。よっぽどプレゼンの練習をしたのでしょうか?

「時間がなくて、あまり練習はできなかったんです。実はプレゼンは全部アドリブだったんですよ。僕は原稿を覚えるのが苦手なので、アイデアの本質的なことだけを頭に入れて、細かい部分は気にせずに台本なしでプレゼンをしました。言い忘れやミスもあったのですが、結果的に賞をもらえたのでよかったです」

おお、あえてのアドリブ。すごい。

FA・ロボットシステムインテグレータ協会(大会主催)会員のロボコムの天野眞也さんと。「これからの技術者はプレゼン力も大事。そういう意味でも加藤さんには将来性を感じました」と天野さん

ロボットアームに、さらにロボットアームをくっつけて、2本の“手によって自転車をつかみ、AI(人工知能)によって自転車を感知することで、駐輪場の自転車を格納・管理するというアイデア。放置自転車の問題の解決、盗難対策、レンタサイクルのプラットフォームなど、さまざまな活用場面を想定している点、そしてユーモアを混じえた簡潔なプレゼンが評価され、見事、最優秀賞に♪

テレビ局から取材を受けたら…

この大会の主催はFA・ロボットシステムインテグレータ協会、略して「ロボットSIer協会」。ロボットSIer(エスアイヤー)とはアームやセンサーなどの技術を組み合わせて産業用ロボットを構築する職業のこと。「この大会がきっかけでロボットSIerのことを知りました。新しいロボットをゼロから開発すること以上に、ロボットをどう活用するのか、技術をどう応用すればいいのかという視点が世の中から求められているのだと気づけたことは、いい勉強になりました」。

今回の受賞がきっかけで次世代甲府大使にも任命された加藤さん。さらに、それがきっかけで地元のテレビ局から取材を受け、さらにそれがきっかけで1本の電話が…。

「テレビを見た企業の方から自転車整理ロボットを実現化できないかという話があったんです。まだ、話があっただけなので、本当に実現するかはわかりません。でも、自分のアイデアが注目されるのは嬉しいですね」

※次世代甲府大使とは…芸術や学問などの分野で将来的に日本を代表する活躍が期待される甲府市ゆかりの小中高生を同市が認定し、応援するもの

情報システム部の部室にて。現在、部活では「スモウルビー」というプログラミング言語でAIプログラムを作成している

将来はシステムエンジニアになりたいと語る加藤さん。けれども、自転車整理ロボットが本当に実用化されたら、億万長者になれるかも??「そしたらスポーツカーを50台くらい購入します!」。数年後、甲府市にスポーツカーを大量に並べた駐車場があったら、それは間違いなく加藤さんの駐車場なのでありますw

 ところで、最後に一句、お願いします!

「整いました。え〜、『ロボットを 活かす魔術師 エスアイヤ〜』」。う〜ん、決勝大会に引き続き、主催であるロボットSIer協会に忖度(そんたく)した一句、あざーす!こりゃ、次回も加藤さんが優勝かも??

文= 阿部 伸/写真= 高永 三津子 text ABE SHIN / photograph TAKANAGA MITSUKO

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