アツいぜ!部活道〜笑顔とチームワークで競技に挑む!〜

東京都立足立工業高校「マシンクラフト部」

〈vol.10 春号(2020年4月発行)より〉

WRO(ワールドロボットオリンピアド) Japan 2019で全国4位!さらにその年、初めて挑戦した宇宙エレベーターロボット競技会では、予選会でいきなり準優勝!足立工業高校マシンクラフト部にはツワモノがいて、相当キビシィ〜練習と研究を重ねているに違いない…。ところが、取材班を待っていたのは、とってもユル〜い雰囲気の仲よし4人組でした^^

左から金澤桂斗さん(1年)、部長の木本葵弥さん(3年)、太田圭亮さん(1年)、小山莉大さん(1年)。学年は2019年度の取材当時

強さのヒミツは一体どこに…?

あの〜、宇宙エレベーターロボット競技会で初出場なのにいい成績を残せたのは、以前から宇宙に興味があって、熱心に研究していたからですよね?

「いや〜、そういうワケでもないんです」と、はにかんだ笑顔を見せるのは、部長の木本さん。「マシンクラフト部の主な活動は、レゴ マインドストームを使った各競技大会に挑戦すること。宇宙エレベーターロボット競技会もレゴを使用するから参加しました。だから、たまたま取り組むテーマが宇宙エレベーターだっただけなんです( ̄∇ ̄*)ゞ てへ」。

実は、レゴは木本部長の趣味そのもの。帰宅後も自分のレゴで過去のWROの課題を再現してみたり、ロボットの構造を研究したりしているのだそう。マシンクラフト部の強さのヒミツは、まさに“ロボット命”“レゴ大好き”な部長さんのもと、部員が一致団結しているからなのですね。

想像もしていなかった準優勝

予選会での好成績は想定内だったのかと思いきや「それが違うんです。あのときはチーム全員が同じ思いだったはず。準優勝できたのは…せーのっ」「(全員一緒に)意外!!」という、なんとも意外な答えが。

メンバーの太田さんいわく、「本番は練習通りにいかず、上位に入るのはムリだろうと思っていたんです。僕たちが準優勝だと発表されたときは、全員で『信じられない!』と驚きました」とのこと。

競技はロボットをテザーに取り付けるところからスタートする。細々とした作業を各部員がきっちりとこなす必要があり、上位を狙うにはチームワークが欠かせない

緻密な調整と練習量がカギ

予想に反して好結果だった理由を木本部長は「しっかりと戦略を練り、練習を重ねていたから」と分析します(ルールについては左ページの下部参照)。

「僕たちの作戦は、最初に宇宙ステーションにある球を残らず地上に降ろし、余った時間で地上の球を運び上げるというもの。重要なのは、1回の作業でロボットのカゴいっぱいに球を入れることです。カゴの容量に対して球が少なくても、逆にあふれてもロスになります。そのため、アームで球をき出す作業を1度につき何回に設定するのが最適なのか、また、制限時間内にロボットが昇降できる最大回数は何回か、何度もプログラムを試しました」

メンバーの金澤さんは「アームの位置がズレていると思い通りに掻き出せないので、きちんと正しい位置から掻き出し作業が始まるように調整するのも苦労しましたね」といいます。

同じくメンバーの小山さんは「ロボットが昇降するためのタイヤの位置調整も大変でした。テザー(地上駅と宇宙ステーションをつなぐロープ)からタイヤが離れると滑ってしまうし、密着しすぎてもうまく動きません。スムーズに昇降できるよう、毎日練習したんです」と教えてくれました。

アームが球を掻き出すようす。宇宙ステーションを傾かせることで効率よく球を集める。ロボットの試作を重ねるうちに偶然発見した方法なのだそう

ユルいくらいの空気がちょうどいい

残念ながら全国大会での上位入賞はかなわなかったものの、木本部長は「部員たちとの絆を再確認できた」と大会を振り返ります。そういえば、皆さん本当に仲がいいですよね。

「チームワークのよさこそ、僕たちの最大の長所。学年に関係なく友だちのような関係だから、お互いに意見が言いやすいんです。ふざけ合えるくらいの、ちょっとユルい空気がちょうどいいのかな」

常に笑顔の絶えない部員たち。和気あいあい、本当に楽しそうに活動する姿が印象的だった

“あの大会”での優勝は後輩に託した!

木本部長は現在3年生(取材当時)。「僕が引退してもユルい雰囲気を大切にして、次のWROでは世界大会を目指してほしいですね。あ、それともう1つ。高校生パフォーマンスロボット競技大会では2年連続審査員特別賞だったから、次こそ優勝してくれ!」と後輩に夢を託す木本部長(結果は16ページに!)。卒業後は専門学校に進みプログラミングを学びたいと夢を語るその笑顔からは、いつしか「はにかみ」が消え、頼もしいエンジニアの表情へと変わっていたのでした。

文・写真=小泉 真治
text & photograph KOIZUMI SHINJI