“怪物”から“芸術品”を生み出す匠たち 昭和電気鋳鋼株式会社

「御社の製品は芸術品だ!」

トレーラ宙づり事件でもわかるように、同社の製品はとにかく強い!しかも、巨大な一点モノもつくれれば、鋳鋼の工場では珍しい大量生産にも対応し、難易度の高い製品も多く手がけている。そんなことから、特殊な鉱山向け建機の部品をある大手企業から依頼されたことがあった。
ところが、見積もりを出してみるとトンデモない金額になり、断ることに。しかし、その会社からの返答は「御社の製品は芸術品。高額でも構わないのでお願いしたい!」というものだった。ここまで言われたら、やるしかないですよね〜。
その建機はアフリカの山の奥地で使われるモノ。そんな場所で万が一、壊れてしまったら…。だからこそ、信頼がおける同社につくって欲しかったのである。

社長になる予定ではなかった

ところで、どうしてそんなに強い製品がつくれるんですか?
「それは長年蓄積してきた技術力があるから」と手塚社長。おお、なるほど!…って、そんな説明で納得できるワケがない!というコトで、怒られるのを覚悟で企業秘密を探ってみると…その成果は「昭和電気鋳鋼のココがすごい!」をご覧ください。

手塚社長が社長に就任して今年で11年。もともと社長になる予定はなかったが、お父さんが突然亡くなったことをきっかけに2004年、同社に入社した。社長に就任した当時、生産現場の改善活動に力を入れようとするも、昔カタギの職人さんばかりの世界。すぐには理解を得られず、苦労もあったとか。

「私は社長として管理をしっかりやろうと心がけ、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)活動を積極的に行いました。父や祖父の代からの職人さんたちには不満や不安もあったと思いますが、だんだんと理解してもらえるようになりました」

こうした活動が実り、不良品の発生率は半減、余分な在庫も減ったという。