世界レベルの顔認識技術を探れ!サイバーリンクの「FaceMe」

コロナ禍以来、サーマルカメラで検温するなんてことが日常的になりました。最近では、AI顔認識エンジンと統合させることで、マスクをしているかどうかが検出できるカメラもあるのだとか。そこで顔認識技術の最先端を探りにサイバーリンク株式会社を取材することに。今、顔認識技術ってそんなことになってるの!?と驚きの取材となりました〜。

本人認識率99.7%!世界レベルの高精度
せっかく最先端を探るなら、世界的に最高水準の顔認識技術を持った会社を取材したい!というワケで、編集部が必死になって調べた結果、見つけちゃいました。本人認識率が99.7%という、まさに世界最高水準を誇る顔認識エンジンを!その名も「FaceMe(フェイス・ミー)」。さっそく開発したサイバーリンクにオンライン取材を申し込みました!
「実は、FaceMeは認証精度だけでなく、認証スピードも世界トップクラスなんですよ!」そう教えてくれたのは同社の萩原英知さん。世界トップクラスというと、モノの数秒で認識されちゃう感じですか?と思いきや…

こちら↑FaceMeを使って開発されたアプリケーションの画面。モノの数秒どころか、「実演してみましょう」と言ってるそばから、画面上には「Hagiwara」と表示され、つまり、ちゃんと認識されておりました。
「FaceMeの認識速度は0.2秒以下。実際のこの画面でいうと、登録された2343人の中から『萩原』であると認識するまでにかかった時間は60ミリセカンドと表示されています。つまり、0.06秒くらいです」
認識スピード、早っ!!


まさに顔パス!
「FaceMe」は認識範囲もすごいんです。一般的に左右の認識範囲は45度が限界値とされているところ、「FaceMe」は、なんと60度。これは顔認証業界でもっとも幅広い角度なんだとか。
60度というと、このくらい↓

上下についても一般的には30度が限界値とされているところ、50度まで大丈夫なのだそう。
「認識範囲がこれだけ広いとカメラを直視しなくても認識できるんです。セキュリティのカメラって天井付近についていることが多いですよね。だから、スムーズな認証には、角度がついていても対応可能な広い認識範囲が必要なんです」
カメラを覗き込む必要がないため、例えば、オフィスや工場の入退室管理で使用した場合など、立ち止まることなく、スーッと歩いて、セキュリティ解除、という感じで、とってもスムーズ♪まさに顔パス。
「新型コロナウイルスの流行で非接触型のセキュリティが注目されるようになりました。指認証などと違って顔認証はどこにも触れることがありません。実際に、当社への問い合わせも、新型コロナの影響で非常に増えています」


マスクをしてても認識できちゃう
新型コロナといえば、この1年間、マスクを着用する生活がすっかり定着しましたよね。そういえば、マスクをした状態だと顔認識ってどうなんでしょう??
「FaceMeならマスクをしたままでも90%以上の認識精度で個人を特定することが可能です。また、マスク着用の有無や鼻が隠れているかなどといったマスクの状態もリアルタイムで検出できるため、ショッピングモールや病院などの公共スペースにおいて、非着用者への注意喚起を促すことなどにも使用できます」
もう1つFaceMeの面白い機能が年齢、性別、感情などの顔に関する属性が推測できる点。こうしたデータを接客コミュニケーションなどに活用する試みも行われているという。

写真)マスクを着用しているかどうかを検出できる


いろんな場面で活用される顔認識技術
FaceMeは、Windows、Linux(Intel/ARM)、Android、iOSなど主要なOSに対応、省電力IoT端末や大規模サーバー上での動作など、さまざまな環境での動作に最適化されているんだそうです。
「あらゆる要望に柔軟に対応できるのもFaceMeの特長です。今後、顔認証技術は、建物のセキュリティ強化はもちろん、公共機関での本人確認、犯罪捜査や遠隔接客への活用など、これまで以上にさまざまな場面で使われるようになるでしょう。例えばですが、将来、受験会場に行かなくてもオンライン上で顔認証によって本人確認をして、受験ができるようになるかもしれません。そんなふうに顔認証技術は発展要素が高く、将来性のある分野なので、モノづくりが好きな中学生や高校生にも興味を持ってもらえるとうれしいですね」

いかがでしたでしょうか、顔認識技術の最先端。これからドンドン、ぼくらの生活の中でも見かけるテクノロジーになりそうですね〜。そして、その見かけた顔認識エンジンはFaceMeかもしれませんよ。そんなわけで要チェックな顔認識エンジン「FaceMe」のお話でした。

写真)さまざまなプラットフォームに対応している

FaceMe

取材・文/阿部 伸