センキョ割とコラボ★第2回 選挙はお祭り!参加しないと絶対に損!!

ジャーナリストの畠山 理仁さん

センキョ割とのコラボ企画第2弾は「選挙ってお祭りみたいで楽しい!」と語るジャーナリストの畠山 理仁さんの登場です。選挙の何がそんなに楽しいの?とストレートな質問、ぶつけてみました!

いつも何かが起きている!
ーー選挙って楽しいんですか?
 候補者に会いに行くと面白いことが必ず起きるといっても過言ではありません!例えば、いきなりオモチャのピストルで撃たれたこともありますし、都庁の前で叫びながらパンツを下ろした候補者もいました。世の中、いろんな人がいていいし、どんな人も立候補していいんだなって思います(笑)。
 でも本当に選挙は自由だし、候補者たちはいろんな感覚を持っていて、そうしたキャラクターを見るだけでも楽しいんです。最初は遠くから眺めるだけでいいので、まずは街頭演説を覗いてみて、面白くなかったら次の候補者を見に行く。そうすると、どこかで「面白いな」とか「自分の考えに違いな」と思える候補者と出会えると思います。
ーーネットやテレビを見るだけじゃダメですか?
 生で見ると一瞬でいろんなことが分かります。普段の人間関係でも会ってみたら、「いい奴だったな」とか「イヤな奴だったな」って分かるじゃないですか。それと一緒です。
 街頭演説に行ったら演説以外の様子を見ることをオススメします。演説ではカッコいいことを言っていたのに、裏ではスタッフにつらく当たる人がいたり、「皆さんの声を聞きます!」と言っていたのに、質問に行くと走って逃げる人がいたり(笑)。そんな様子を見るだけでも候補者のことが分かります。
 また、その候補者を応援している人たちの雰囲気もポイントです。「この陣営は体育会系のノリだな」とか「みんな仲よさそうだな」とか雰囲気が掴めると投票先を選ぶ参考になります。


選挙はお祭り?
ーー政治って、あまり高校生には関係ないですよね?
 そんなことはありません!どの候補者も実は高校生向けの政策を用意していることが多いんです。立候補する人はその地域や国民全体の奉仕者だという意識を少なからず持っていて、いろいろな世代に向けた政策を出しています。
 例えば、去年の千葉県知事選では教室のエアコン設置、学校のトイレの洋式化推進といった政策を訴える候補者たちがいました。若者の投票率が低いと言われていても、こうして若者向けの政策を掲げているわけですから、その量や質を高めるためにも若者は投票に行ったほうがいいと思います。
ーー若者の投票率は低いんですね。
 60代が一番高くて、10代、20代はすごく低い。だから、60代前後の世代の意思が政治には反映されやすいんです。若い世代の人口はもともと少ないことに加え、投票率も低いとなると、ますます若者の意見は反映されなくなります。なので、「自分たちも客なんだぞ!」とアピールするためにも投票に行くことはオススメです。
ーーえ、客なんですか?
 立派なお客さんです。選挙はいろんな人たちが本気で取り組んでいて、まさにお祭り。有権者はそのお祭りのお客さんなので参加しないと損ですよ!
 ちなみに、1票の価値っていくらか知っていますか?2021年の衆議院選挙でいえば、国家予算が約107兆円。衆議院議員の任期は4年なので、かける4。それを有権者の数、約1億572万人で割ると、1票は約403万円です。その金額を政治家に託すわけですから、参加しないなんて相当もったいない。
 その上、日本人は所得の4割以上を税金と社会保障費として負担しています。これ、月々のお小遣いが1万円だとしたら、その中から4000円以上を親が使い道を決めているみたいなものです。その4000円で親が決めた演歌や民謡のコンサートに行かなくてはいけなかったら、どうでしょうか。せめて、「アイドルのコンサートに行きたい!」など、自分のリクエストは伝えたいですよね。100%の希望が通らなかったとしてもリクエストすることで何かが変わるかもしれません。投票というのは政治に対するリクエストなんです。
 それに高校生だって買い物をすれば消費税を払います。「俺には関係ない」と思っていても、すでに税金を通じて参加費を払っています。だから、リクエストはちゃんと伝えましょう!と強く思います。


誰が1位になるか予想するだけでも楽しい
ーー候補者を選ぶ際、何を参考にすればいいですか?
 一番簡単に手に入り、候補者全員の意見を一覧で見られるものに「選挙公報」があります。すべての家に配布され、選挙管理委員会のホームページでも見られます。ただ、選挙公報はあくまで候補者が主張したいことを載せているだけなので、書かれたことが本当かどうかを見極めるには、やはり本人に会いに行くのが一番です。そして、選挙公報に「ホニャララを無償化します」と書かれていたら、「その予算はどうするんですか?」と質問してみて、説明が妥当と思えば応援するし、実現不可能だなと思ったら違う人を選べばいいと思います。
ーー投票したい候補者がいなかったら?
 競馬って楽しいですよね?どの馬が勝つかなと予想したり…。
ーーいえ、高校生なので競馬はやりません!
 そうでした(笑)。でも、例えば、自分の好きなサッカーチームが優勝争いに関係がなかったとしても、このチームが優勝するかな?と予想すると楽しいじゃないですか。そんな感じで、誰が勝つのか、どんな順位になるのかを予想してみてください。自分の感覚と世間ではこんなふうに違うのか!なんて、新しい発見ができて、面白いですよ。
ーー学校の主権者教育の時間にみんなで予想し合うと盛り上がるかも(笑)。
 実際にスウェーデンの高校では選挙が行われる年に各政党の担当者が学校に来て、政党の政策を説明し、討論大会が行われるんです。そして、全国の高校生による模擬投票を実施し、その結果はメディアでも報道されます。高校生と大人では結果が違うこともあり、政党関係者もこの模擬投票には注目しています。これは面白い取り組みですよね。


政治に関心がないと損をする?
ーーだけど、投票するって、すごく責任を感じます。
 難しく考えずに楽しんでください。実は、大人だって各政党の政策をきっちり理解している人は少ないものです。というのも、何を基準に投票しますか?と質問すると、たいていの大人は「政策です」と答えます。でも、候補者の名前と顔を隠して政策が書かれた表だけを並べて選んでもらうと、実際の投票結果と逆の結果になることがよくあります。高校生だって立派な社会の一員なのだから、自分の感覚に自信を持って投票して欲しいと思います。
ーー政治に関心がないとどんなことが起きますか?
 損をすることが多いです。貧乏になって苦しいなと思ったとき、政治の側でその状況を助けてくれる制度を用意している場合があります。税金を払っているのに、そうした制度を利用しないのはもったいないです。でも、政治に関心がないと、いつの間にか申請期限が過ぎちゃったなんてことがあります。だから、まずは関心を持つことが大事かなと思います。そして、ぜひ、選挙の現場に行って候補者に話しかけてみてください。
ーーオモチャのピストルで撃たれたりしませんか…。
 それは特異な例なので(笑)。実は、政治家も有権者が何を考えているのかを知りたがっています。ときどきトンチンカンな発言をする政治家っていますよね。あれは特定の有権者だけを相手にしているとそういうことが起こりやすいんだと思っています。
 政治家に質問をしたり、考えを伝えたりするのは当然の権利なので、どんどん会いに行くといいと思います。もし、それを嫌がる政治家がいたら、この人は自分たちの代弁者にはなり得ないなと判断していいと思います。政治は触れてみると面白いし、みんなの生活に直結するものなので、気軽に語ったり、考えたりして楽しんで欲しいと思います。





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畠山 理仁(はたけやま みちよし)
各地の選挙を取材するジャーナリスト。マスメディアでは報じられない候補者の選挙戦を追いかけた『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で第15回開高健ノンフィクション賞を受賞。SNSなどでも選挙現場に行かなければわからない情報を発信している