お笑いコンビ『馬鹿よ貴方は』新道竜巳の「馬鹿よ青春」第6回

2019年秋号 Vol.8 掲載

第6回「電車内で迷惑行為!?」

調子に乗って公共の場で迷惑行為をしたことはありますか。私は電車内でしてしまったことがあります。今となっては、なんであんなことをしてしまったのか。反省をしております。

髪の毛は長ければ長いほど、威嚇丸出しの大きなリーゼントをつくることができます。当時、私は髪の毛が伸びておりました。ある日、学校が無い日に出かけようとすると、お母さんに髪を切ってきなさいと言われました。その頃、反抗期だった私はビシッと「もうちょっと切らなくても大丈夫だよ…」と小さい声ではねつけて出かけました。

電車に乗り込みボックス席(向かい合わせの4人がけの席)に1人で座り、伸びた髪でバシッとリーゼントを決め、太い紫のズボンを履き、座っていると、まわりの乗客が警戒し、近寄ってきません。30分くらいボックス席に1人で座ってから駅を降りました。

ここまで読んだ方はひょっとしたら勘違いしているかもしれません。私は別にガニマタでふんぞり返って、足を伸ばして、誰も座われなくしていたわけではありません。1人分の席に収まるように座り、いざ人が来ても座りづらくないように足もすぼめておりました。まわりの乗客を睨みつけていたと思っているかもしれませんが、それはしていません。なぜなら窓際で景色を眺めながら座るのが凄く好きだったからです。太い紫のズボンをなびかせ下車して向かった先は泣く子も黙る、教えることに評判の良い学習塾でした。

では、公共の場での迷惑行為とは何のことを言っているのかというと…それはお母さんに言われた通り、髪を切ってさっぱりしてから塾に行かなかったこと。

前にも書きましたが、私はリーゼントにしているだけの不良もどき。電車内でのマナーをちゃんと守っているのに誰も近寄らなかったのは、いつも以上に長い髪でリーゼントをつくったため、威嚇丸出しの大きなリーゼントになってしまっていたからでした。さらに、前の日お風呂も入っていませんでした。

皆さんもお母さんに「そろそろ髪切りなさいよ」と言われたら、早目に切りにいかないと、私のように後悔することになります。けっして「もうちょっと切らなくても大丈夫だよ」なんて言ってはいけませんよ。

イラストレーション=本田静丸

〈vol.8 秋号(2019年10月発行)より〉

新道 竜巳

お笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」のツッコミ、ネタ作り担当。コンビとして「THE MANZAI」や「M-1 グランプリ」の決勝に残るなど実力派として知られる。2018 年オフィス北野からサンミュージックへ移籍。