お笑いコンビ『馬鹿よ貴方は』新道竜巳の「馬鹿よ青春」第1回

第1回「親友ってなんだろう?」

皆さん、親友はいらっしゃいますか。親友とはなにをもって親友と言うのでしょうかと思った話です。

僕には中学生の時、親友H君がいました。よくH君と一緒に学校から帰り、学校から家に着いたら私服に着替え、H君の家に遊びに行くなど、お互いの家に会いに行くことがあり、H君の家族とも仲良くしていました。

これは親友と呼んでもいい仲ですよね。もちろん自分でも親友だと思っていました。

ある日2人で、自転車でコンビニに行き、立ち読みをしていました。地元が千葉というのもあるためか、同級生に不良が多く、不良の同級生の1人が僕らのいる店内に入ってきてH君に話しかけてきました。「おいH、自転車ちょっと貸してくれない?」。

話しかけられたH君は即座にこう返答しました。「こっち(新道竜巳)の自転車は?」。

ものの1秒と考えずに僕の自転車を差し出そうとしてきたのです。
相手は僕とはそれなりに仲の良い不良だったので、H君と僕、2人の自転車を守る形に話を持って行き、ことなきをえたのですが、追い詰められもしなく、話しかけられた瞬間に僕の自転車を差し出したH君は、その時どういう心境だったのか。

大人になり、いろいろ経験を経て今思うことは、H君はオタクで引きこもりなので、自分のことで手一杯だったんじゃないのかということ。オタクは「自分のことを最優先にする」という心境になるらしいです。誰しも気持ちに余裕が出てくると人を大事にしはじめます。芸能人で売れている人は皆優しいです。これは人間が出来ているのでなく、満たされると他者を愛する傾向になりやすいというのがあるのだと思います。

なのでH君は親友じゃないからそういう行動に移ったわけではなく、親友だがそういう行動に移ったのです。その親友H君とは今どういう関係になっていると思いますか。

いまだに仲良く遊んでおります。


〈夏号 vol.3(2018年7月発行)より〉