特別インタビュー 進学ってどうですか? オリィ研究所 ロボットコミュニケーター・吉藤 健太朗さん

死ぬまでに命をかけてすべきことは…
世界大会で交流した各国の高校生たちとの出会いは衝撃でした。彼らは「俺の人生はこの研究のためにある!」と真剣に言うんです。自分は死ぬまでずっと車椅子をつくりたいのか?いや、違う。それなら「死ぬまでに命をかけてすべきことは何だ?」と、自分に問いかけました。

そのころ、高齢者の方から車椅子について相談を受けることがありました。話してみて分かったのは、自分も戦った「孤独感」という問題に、実は多くの方が悩まされているということ。そして私は「孤独の解消のために残りの人生を捧げよう」と誓ったんです。

一人で立ち上げた研究室で開発スタート
高校を卒業後、高等専門学校(高専)に編入し、人工知能の研究に没頭。でもそのうち、人工知能に頼ると人と関わりを持たなくなり、むしろ孤立するのではないか?と違和感を感じ始めました。人の孤独を癒せるのは、やはり人しかいないと思ったんです。

結局、高専を約1年で辞め、早稲田大学へ。でも、そこでも違和感が(笑)。1年生のときに見てまわった研究室は、どこも研究のための研究ばかりという印象。実習は3年生からで、高校のときのように工作機械も自由に使えない…。

そこで、いったんモノづくりから離れて、苦手な対人関係を克服することに。社交ダンスやヒッチハイク、学生寮での集団生活などなど。“コミュ障”だった私には苦しい修行でしたね(笑)。

3年生になると、学校の規則で研究室に入らなければいけません。でも入りたい研究室がない。ならばつくってしまおう!と、一人で『オリィ研究室』を立ち上げたんです。そして分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」の開発を始めました。