「曲がる半導体」で、きみも億万長者!? フレキシブルエレクトロニクスが世界を変える

「FHE」でより高性能なデバイスに

こういったデバイスを、もっと高性能にする研究もあります。例えば微細加工の技術を駆使してシリコンチップを30ミクロンまで薄く削ると、シリコンチップも曲げられちゃうんですよ。そこに先ほどのフレキシブルデバイスの技術をかけ合わせるんです。このようなフレキシブルデバイスとMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の融合技術を「フレキシブルハイブリッドエレクトロニクス(FHE)」といいます。

こうした技術でつくられた圧力センサーや非接触センサー、心電センサーを組み合わせることで、〝曲がる半導体〟はもっといろいろな分野に応用できるようになってきました。たとえば、自動車のシートに使ってドライバーの眠気を感知するなど、安全運転や自動運転の技術開発に役立てる研究も行われています。

こんな物が欲しい!という発想が大切

モノづくりで大切なのは、「この技術でこれができる」という技術ありきの考え方ではなく、「こういう物が欲しい!」という〝使う側の目線〟です。

自分が「お金を出してでも使いたい」と思えるアイデアを思いついたとき、クラスの誰かが「いいね」と言ってくれたら、日本中には1000人や2000人は「いいね」という人がいるはず。世界であれば数万人です。ほら、もうマーケットのできあがり!みんなが新しい産業を起し、億万長者にだってなれるかもしれません。

これからの時代を担う高校生が、どんなことを考えるのか、どんなものをつくっていきたいのか。その柔軟な発想力に期待しています。

教えてくれたのは
国立研究開発法人
産業技術総合研究所
フレキシブルエレクトロニクス研究センター
牛島 洋史先生



国立研究開発法人産業技術総合研究所

〈冬号 vol.5(2019年1月発行)より〉

文= 小泉 真治/写真= 高永 三津子 text KOIZUMI SHINJI / photograph TAKANAGA MITSUKO