卒業生に会いに行こう!教えて!コンクリート構造物解体業って、どんな仕事?

コンクリート構造物解体業の現場
中学生からの夢が変わった。選択肢が広がるインターンシップ

教えてくれた卒業生は…
鈴木 琉生さん
都立杉並工業高校 機械科 2017年度卒業
コンクリートコーリング株式会社

人生が変わったインターンシップ

巨大なコンクリートの橋が一夜にして消えてしまう。そんな魔法のような技術を知って、それまでの夢が変わってしまいました。コンクリートコーリングの仕事を知ったとき、それほど驚かされたんです。

僕の父親は住宅などを壊す解体業者。中学生の頃から父の会社を継ごうと思っていたので、解体に関する資格が取得できる杉並工業高校に入学しました。

ところが、2年生のインターンシップで訪れたコンクリートコーリングで、まさかの事態が。当社の解体技術に感動してしまったんです。この体験をきっかけに、卒業後の進路が変わったのでした。

衝撃的なコンクリートの切断・解体技術

当社はコンクリートの構造物を解体する会社です。誰もが知っている駅や高速道路、橋、空港など、日本中でコンクリートの解体工事を行なっています。

僕が感動した解体技術とは、ワイヤー・ソーイング工法です。切断したい構造物に、刃先にダイヤの粒子が埋め込まれたワイヤー状のノコギリを巻きつけ、高周波モーターで高速回転させて切断します。コンクリートだけでなく、その中にある鉄筋や鉄骨までカットできるんです。

この工法だと、大きな構造物でも振動や騒音がほとんど出ることなく、スピーディーに切断・解体作業が進められます。段取りなどの準備に日数はかかりますが、本番の工事が始まれば、巨大な橋でも一晩で撤去できてしまうんです。

この工法を知るまでは、コンクリートの解体といえば、重機で粉砕したり、ハツリ機と呼ばれる工具で叩き壊すイメージがありました。そんな荒々しさとは正反対に、大きな構造物をキレイに解体する様子はとても衝撃的でした。

【左下】ワイヤー・ソーイング工法で使用される直径11mm のダイヤモンド・ワイヤー。【左上】ワイヤー・ソーイング工法でダムをブロック状に切断した直後。【右】切断したブロック状のコンクリートをクレーンで撤去しているところ 写真提供:コンクリートコーリング

もっと会社に貢献できるように

僕は今、入社2年目。地下鉄の駅の改良工事で不要なコンクリートの壁などを切断、撤去する業務を担当しています。ワイヤー・ソーイング工法は振動も騒音もほぼ出ないため、電車の運行を妨げることがなく、地下鉄での作業に向いているんです。

ただ、難しいのは切断したコンクリートのブロックをどう運び出すのか。重さが何トンもあるブロックをクレーンやフォークリフトなどを使いながら、安全にスピーディーに搬出するには、計画をしっかり立てなくてはいけません。僕はまだまだ知識も経験も足りないのですが、早く先輩たちのように、より的確に搬出できるようになりたいですね。

また、当社の資格取得のサポート制度を利用し、トラックの運転免許なども取得する予定で、もっと会社に貢献できるようになりたいと思っています。

先生のおかげで就活は安心感がありました

この仕事は達成感があるんです。今までそこにあった大きな構造物がなくなってしまう。その光景を目の当たりにすると爽快です。新しいモノをつくり出すためには、古いモノは壊さないといけない。何かを生み出す、その本当に最初の工程が解体の仕事です。そこに貢献できるのは、やり甲斐ですね。

杉並工業高校の先生とは今でも連絡を取り合っているんですよ。それくらい先生と生徒の距離は近いですね。インターンシップのとき、当社をすすめてくださったのも先生でした。先生方は生徒に寄り添いながら、生徒の特性を見つつ、就活を手伝ってくれるので、不安よりも安心感のほうがありました。

皆さんもいろいろな仕事をたくさん見て欲しいと思います。そしたら、僕のようにもっとやりたいコトが見つかるかもしれません。いろいろなことに積極的に取り組んで、選択肢や視野を広げてくださいね。

コアボーリングと呼ばれるコンクリートに穴を開けるマシンに刃先を装着しているところ

コンクリートコーリング株式会社

〈vol.8 秋号(2019年10月発行)より〉