おカネのプロがこっそり教える モノづくりティーンズに役立つマネジメント講座 第3回

第3回「人が輝く時代のモノづくり」

就職を志望する会社の商品や技術は、将来も世の中から必要とされるのだろうか?
そんな疑問や不安を持ったことはありませんか??
今回はイマドキの経済や世の中の風潮から見える、今後のビジネスに必要な視点を新田先生にうかがいました。
これを読めば、君もマネジメントのプロになる!…かも?

経済の成長も人間の成長も、実は同じ!?

前回のお話では、就職先を選ぶ際のポイントとして、もう1つあるということだったのですが、それはいったい何でしょうか?

「ああ、青春っていいなぁ。友だちとケンカしたり、仲直りしたり、毎日、楽しかったなぁ〜♪」

新田先生!昔話ばかりしている社長の会社は伸びないって、前々回、言ってたじゃないですか!

「実は、経済の成長も人間の成長も同じなんです( `・ω・´)キリッ。日本は戦後、焼け野原から立ち上がり、いろいろな浮き沈みがありながら、高度経済成長時代を経て80年代後半にはバブル景気という急激に成長した時期を迎えました。それは赤ん坊が歩きはじめ、いろんな経験を積みながら成長期を迎える、そんな姿と似ているわけです。
そして、青春時代って楽しいことがたくさんあるけれど、悩んだり、つらかったりという経験もたくさんしますよね。日本の経済もバブルで華やかな時期のあと、不況が続きました。それは、まさに青春時代だったと言えるのです」

なるほど。言われてみれば、似ていますね。

これからの時代はお金や物ではなく…

そうなると、今の日本は…。

「青春時代を抜け出して、大人になったと言えると思います。以前のように急激に成長することはないけれど、大人として成熟した経済活動を行っていく、それがこれからの日本の姿だと思います。こうした時期を経済の世界では<成熟期>と呼ぶことがあります。成熟した社会になると、どんな物が売れると思いますか?」

前回のお話では、物があふれた時代は質や個性を優先した商品が売れる、ということでしたが、そういうことですか?

「正解!続いて問題です。会社を経営するとき、必要なものってなんでしょうか?」

それ、知ってますよ。やる気!元気!勇気!

「<人><物><金>です(`・ω・´)キリッ」

他人のボケはスルー…(ノ__)ノ

「これは経営に必要な3つの要素と言われています。経済が成長していく過程で、これまでの日本はじゃんじゃん物をつくり、じゃんじゃんお金を使ってきました。極端な言い方をすれば、『儲かればなんでもいい』みたいな考え方が世の中には少なからずありました。けれども、成熟社会を迎えて、質や個性を優先するようになった現在、大事にするべきなのは物でもお金でもなく、<人>なんです
最近、ブラック企業という言葉をよく耳にしますが、社員を大切にしているかどうかという視点が企業には求められています。前回、お話しできなかった、就職先を選ぶポイントのもう1つとは、<人を大切にしているかどうか>という視点です」

共感がキーワード?

人といえば、人材不足という話もよく耳にしますね。

「最近では業績が悪いから倒産するのではなく、後継者や働く人がいなくて倒産するケースが多いんですよ。これから日本はどんどん人口が減っていきます。社員を大切にしない会社はなおさら経営が立ち行かなくなる可能性が出てくると思います。
それだけではありません。企業が提供する商品やサービスも<人>をキーワードにしたモノが売れるようになると思いますよ」

どういうことですか??

「例えば、東日本大震災のとき、<社会関係資本>という考え方が注目されました。日ごろから近所付き合いをしている人のほうが、被災したときに水や食料などをおすそ分けしてもらえたり、避難情報をすぐに得られたりするというような、つまり、人間関係がお金とは違った重要な価値を持つという考え方です。
また、最近では共感が価値を生み出すという<共感型資本経済>と呼ばれる考え方もあります。どんなにお金が儲かるからといって、環境破壊をしたり、誰かがみじめな思いをしたりする仕事は人々からの共感を得られず、結果的に儲からない。もちろん、お金を儲けることは大切ですが、今はそればかりを考えていては、事業として成り立たない時代なのです。
ですから、<人>が輝くような、そんな商品やサービスが今後は注目されるようになると思います。ところで、仕事をすることや働くことに対してどんなイメージを持っていますか?」

う〜ん、まずはやっぱりお金を稼ぐとか…。

「ああ、青春っていいよな〜。友だちとケンカしたり、仲直りしたり♪」

え、また、そのパターンですか!! またもや文字数が…。とういうわけで、続きは次回に!


第一勧信では、各支店がある地域のお祭りに職員が積極的に参加。
左は墨田区の「墨堤さくらまつり」、右は品川区の「目黒のさんま祭り」で模擬店を出店したときのもの
写真提供= 第一勧業信用組合


講師=第一勧業信用組合理事長・新田信行せんせい
1956年千葉県生まれ。1981年に第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行の常務執行役員を経て、2013年、第一勧業信用組合の理事長に就任。

<お問い合わせ先>
第一勧業信用組合〈本店〉
東京都新宿区四谷2-13
TEL:03-3358-0811
http://www.daiichikanshin.com/

文= 阿部 伸/写真= 高永 三津子 text ABE SHIN / photograph TAKANAGA MITSUKO