おカネのプロがこっそり教える モノづくりティーンズに役立つマネジメント講座 第2回

第2回「職場選びのポイントは…特別なオンリーワン♪」

今回は新田先生が実際に出会ったデキる社長さんなどのお話です。
こういう会社に就職すると面白いかも!と思いつつ、ちゃっかりマネジメントについても学んでしまう、そんなおトクなお話。
このシリーズを読み終えるころ、キミはマネジメントがわかるティーンズになる!…かも?

ゴスロリがポイント!?
将来性のある会社って、社長さんが夢を語れて、人を大事にする会社、前回はそんなお話でした。新田先生は、実際にそういう社長さんに会ったことはあるんですか?

「もちろん!ところで、ゴスロリって知ってますか?」

えっ!? 新田先生の口から、まさかのゴスロリ…。一応、知っていますが、それと元気な会社やマネジメントとどういう関係が??

「渋谷の小さな会社でゴスロリファッションのメーカーがあるんです。そこの服を初めて見たとき、『これを着る人が本当にいるの?』と思うほど、私からすると変わったファッションでした。おまけに値段が高いんです。でも、それが売れているんですよ。フワフワした変なスカートが数万円もするのに!」

変かどうかはそれぞれ個人の趣味の問題で、ゴスロリが好きな人もいますよ!

「そう!実は、この<趣味>というのがポイントなんです。昔は物がない時代でした。だから、車でもパソコンでも作った分だけ売れました。
ところが、今は物があふれています。そうなると、人々は自分の趣味に合った物をより選ぶようになるんです。ケータイを持つなら、このスマホがいいなぁとかあるでしょ?
そういうふうに、自分の個性に合った趣味や質のいい物を優先する、それが今の時代なんです」

値段を下げるよりも付加価値をつけて
つまり、<質>などを追求する会社は、ゴスロリの会社のように元気がいいと。でも、やっぱりそういう会社って、華やかな仕事の会社や大きな会社だったりしますよね?

「いえいえ。例えば、日本の皮革産業は人工皮革の進歩などによって、全体的に衰退しています。ところが、墨田区に本社を構えるある中小企業は、独自に立ち上げたブランドを高級デパートなどで販売し、すごく人気があるんです。
ここの社長さんは『海外ブランドに負けない質のいい日本製の革製品をみんなに身につけて欲しい!』そうした夢を持って頑張っています。物が売れなくなると、多くの会社は値段を下げて販売しますが、日本独自のすぐれた技術を絶やさないためにも、付加価値をつけてしっかりとした値段で売っているんです。
こういう小さな会社は世の中にたくさんあります。そう考えると、実はこれからの時代、中小企業は有利なんじゃないかと思っています」

中小企業が有利な時代??
それはどういうことでしょう??

「昔は1つのモノが流行ると、みんながそれに飛びつきました。ところが、ゴスロリもそうですが、今はクラスに同じ趣味の友だちが数人、もしくは一人もいないかもしれません。でも、クラスや学校の外には同じ趣味の人がたくさんいます。
要するに、大きなヒットがなくなった代わりに小さなヒットがたくさんある状態なんです。
大手企業は従業員が多く、工場もたくさん抱えているので、それらを潤すために、どうしても大きなヒットを狙います。だけど、現実には難しい。
いっぽうで、中小企業は大手のように莫大なお金で社内を潤す必要がなく、小回りも利くので、小さなヒットを狙いやすいんです。
例えば、全国展開をするファミリーレストランと支店を持たない銀座のレストラン、どちらが大きな会社でしょうか?」

ナンバーワンにならなくても〜♪
従業員の数も売り上げもファミレスのほうが大きいです。

「圧倒的にファミレスですよね。だけど、一人のお客さんが一回の食事で払う金額は銀座のレストランのほうが圧倒的に高い。こんな感じで、人の心がつかめれば、中小企業だって高いステータスを築くことができます。中には、身軽でいるために、あえて小さな規模を維持している会社もあるくらいです。
これからの時代はアイドルグループの歌ではないですが、ナンバーワンではなくオンリーワン。大量生産ではなく少量でも質が高いモノ。そういう視点を持って経営をしている企業が大手、中小問わず、どんどん伸びていくと感じています。志望する就職先を選ぶときには、そんな目線も1つのポイントになるのではないでしょうか。
あ、それから、もう1つ、大事なポイントがあるんです。それは…」

それは??

「そういえば、あんなフワフワしたスカートが数万円ですよ!」

いや、その話はさっきしました!

「しかも、そのスカートに赤いバラとかつけちゃってさ!」

もう、文字数が足りません!というわけで、続きは次回に!!


インターネットラジオ「かんしんの“未来へのチャレンジ”」の収録現場。毎回、新田先生がパーソナリティになり、若者、女性の経営者や地方で頑張る人たちをゲストに招いて紹介している

講師=第一勧業信用組合理事長・新田信行せんせい
1956年千葉県生まれ。1981年に第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。同行の常務執行役員を経て、2013年、第一勧業信用組合の理事長に就任。

<お問い合わせ先>
第一勧業信用組合〈本店〉
東京都新宿区四谷2-13
TEL:03-3358-0811
http://www.daiichikanshin.com/

文= 阿部 伸/写真= 高永 三津子
text ABE SHIN / photograph TAKANAGA MITSUKO