特別インタビュー 進学ってどうですか? オリィ研究所 ロボットコミュニケーター・吉藤 健太朗さん

  1. 今、とあるロボットが、世界中から注目を浴びている。インターネットを通して遠隔操作することで、まるでその場にいるかのようにリアルな参加体験ができ、家族や友だち、会社の仲間などとの時間を共有できる分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」だ。
    開発者は、自らを「ロボットコミュニケーター」と名乗り、孤独の解消をテーマに研究開発を進める吉藤健太朗さん。不登校から工業高校、高等専門学校、大学、会社設立と経験してきた吉藤さんに、「進学ってどうですか?」と聞いてみたら、シゲキ的な答えが返ってきた…!


    パソコンやスマホなどに「OriHime」が見ている視界が映し出され、離れた相手と言葉やジェスチャーでコミュニケーションができる。会話をしていると本人に思えてくるから不思議

    不登校で感じたつらい孤独

    皆さんは、孤独と向かい合ったことがありますか?私はずっと孤独を感じて生きていました。小学生のころ、ストレスや体調不良が重なり、不登校になった時期があったんです。布団の上で天井を眺め続け、うまく話すことすらできなくなり、すべてがつらい状態でした。そんな私を見て、中学生のときに母が申し込んだロボットコンテストで偶然にも優勝。それがきっかけで出会ったのが、私の人生に大きな影響を与えた“師匠”でした。

    車椅子づくりで世界3位に!

    その師匠は、のちに入学する奈良県立王寺工業高校の先生。始発から終電まで学校にいる間、旋盤もフライス盤も自由に使わせてくれて。モノづくりの基本的な技術や心構えのすべては、高校時代に師匠の背中を見て学びました。

    師匠と取り組んだのが「最高の車椅子」製作。ジャイロセンサを搭載し、傾いても自動で水平を保つことができる次世代型の車椅子です。段差も登れるんですよ。この車椅子が高校生の自由研究のコンテストで優勝。世界大会にも出場して、3位の成績を収めることができました。


    (左)研究所には、大学生のインターンも多い。この日は所長自ら、ロボットのパーツの組立てや仕上げを指導。学生たちの目は真剣そのもの。「研究所でのインターンは充実した日々」と語ってくれた
    (右上)不登校の孤独を支えた特技の折り紙。「オリィ」の由来となった
    (右下)16歳の吉藤少年。この車椅子が、今後の人生に大きく影響を与える出会いをつくる。かな〜りイカしたデザインに注目!