わたしだからこそ、できる。株式会社IHI 溶接士

モノづくりの第一線で活躍する女性たち。この道を目指した理由は? 仕事のやりがいや、今後の目標は?
そんな素朴なギモンに、モノづくり女子のトップランナーが答えてくれました!

──この仕事を選んだきっかけは?
溶接士を目指そうと思ったのは、学校の授業で学んだことがきっかけです。最初はできなかったことが、練習をするうちに、だんだん上達するのが面白くて(笑)。溶接は、仕上がりを見るだけで、その人の習熟度が分かります。限られた時間の中で、美しく、かつスピーディーに溶接ができたときに、とてもやりがいを感じます。

どんなことをしているんですか?
現在の仕事は、火力発電所などで使われる発電用ボイラの溶接です。高圧の蒸気が通る配管は、少しでも蒸気が漏れてしまうと出力が上がりません。また、ボイラの安全性も損なわれるため、絶対に蒸気を漏らさない溶接をすることが必要です。溶接に使う材料も、高圧に耐えられる材料ほど溶接の難易度が上がりますので、常に考えて工夫をしながら経験を積んでいくことが大切だと思っています。

女性が活躍する現場について、どう感じていますか?
女性の溶接士というとよく驚かれますが、自分では意識していません。だって、同じ内容の溶接を男性がしても「すごいね」とは言われないでしょう?(笑) 同じ仕事ですから「女性だから、男性だから」と区別する必要はないと思います。もちろん、体格や腕力の差はあるかもしれませんが、自分の得意な分野で常に最善の仕事をするように心がけています。

今後の目標を教えてください。
技術指導ができる人になりたいです。後輩に教えるときに、言葉ではうまく伝えられないことがあって……。やって見せるにしても、まだまだ技術レベルを上げる必要があると感じています。先輩や後輩と切磋琢磨しながら、日々、自分の技術を磨いていきたいです。

モノづくりティーンズにエールを!
挑戦する前に「合う」「合わない」を判断せず、チャンスがあれば、とにかくまず、やってみる、行ってみる、見てみる。そうするうちに、適正を自分で判断できる力がついてくると思います。自由に使える時間をフル活用して、いろいろな事にチャレンジして欲しいですね。

宮川 由佳さん 株式会社IHI 相生工場〈兵庫県相生市相生5292〉
大阪府立淀川工科高等学校メカトロニクス系卒業後、大阪航空専門学校を経て、2013年入社。資源・エネルギー・環境事業領域 ボイラSBU 相生工場 製造部 ボイラ製造グループで溶接士として活躍。趣味は旅行、好物は玉子焼き。

〈創刊号(2017年10月発行)より〉

取材・文= 小泉 真治/写真=粟飯原 正晴
text KOIZUMI SHINJI / photograph AIHARA MASAHARU